バックバンドとはシンガーやボーカルユニットのバックで演奏するプレイヤー。一見すると、正確に当たり障りのないサポートをする人材が求められるように思えるが、果たしてそうだろうか。

地上波の音楽番組においてベースギターを当てぶり(弾いてるように見せてその場では音を出さない、放送事故回避手法)してる人。
あれにはイケメンが多い。というより当てぶりなんだからイケメンであるだけのコンビニ店員(を侮辱する意図はない)でも構わない。
といったのも一つの例で、やはり多くの一流現場では、なんらかの意図や経緯があった上でバックバンドの人選が為されているものである。
今回は特にドラマーに焦点を当ててみようと思う。

日本のポップスにおいて現在売れっ子ドラマーといえば

河村カースケ智康

玉田豊夢

伊藤大地

あらきゆうこ

佐野康夫

…とりあえずこのくらいにしとこうかな、並べすぎるとハァハァしちゃうから(マニアックなフィギュアを陳列してワインを嗜むオジサマとたぶん似ている)
この人達を呼んだとあらば、まずプロデューサー乃至アーティストは本気と思ってまず間違いない、と思う。
そもそもカースケさんの仙人のような風貌や大地さんのへんてこな外観のドラムセット(有名な“ぐにゃっとしたバスドラム”に限った話ではない)が視界に入ったら
その時点で“当たり障りのないサポート”なんて無理ってものである。守りに入ることができない。城を燃やされたってまだ敵陣を落とす勢い。
もちろん彼らは道化ではない。見た目以上に卓越した音やリズムを持っている。
(ちなみに先に挙げた売れっ子選にヒイキ目はある。おおいにある。筆者はあらきゆうこのドラムが大好きである)。

外国人を連れてくるシンガーなんてのも全然珍しくない。

氷室京介の後ろにCharlie Paxon
EXILEの後ろにLorenzo Braceful
宇多田ヒカルの後ろにChris Dave
小田和正の後ろにJeff Porcaro
松任谷由実の後ろにVinnie Colaiuta
ハァハァ
失礼ながら、少年時代の筆者はテレビ越しにそういった人たちを観て「お金がありあまるからわざわざ外国人雇ってんだろうな」なんて思っていた(実にかわいげのない少年である)。
しかし、この顔ぶれ。
ドラマーならご存知かもしれないが、Chris Daveはとっくに世界レベルの売れっ子、ヒカルさんだってきっとわくわくしながら呼んだんじゃなかろうか。
Jeff PorcaroやVinnie Colaiutaもあなたの世代が世代なら興奮するはず一緒にハァハァしましょう
ユーミンに至ってはVinnieさんを呼べるコネクションがありながら曲調に合わせてカースケさんを起用したりする。
どころか、売れっ子カースケさんを呼んでシンバルだけ叩かせている曲もある(これ、ネットでもあまり出回っていない情報だけど、Load Showというアルバムにしっかりクレジットされている)。なんたる贅沢。
設計士と職人なのだ。それだけのためにお声がかかるってのも、ドラマー冥利に尽きるだろう。いいなぁ。

さていい感じに逸れたところでJ-Popで活躍する外国人ドラマーのおはなしですが。

今年の9月で結成30年を迎えるB’z(おめでとう)。少なくとも数字で見て“日本一のJ-Popアーティスト”を支えるのがこの人
野蛮なんですけど大丈夫ですか?
 
紹介するのはShane Gaalaas。Yngwie MalmsteenやMichael Shenker(B’z松本氏が多大な影響を受けたギタリスト)といったハードロックおじさんならみんな知ってるスーパースターと共演してきたまさにハードロックドラマーである(ちなみに同じくB’zをサポートしているベーシストBarry Sparksも同様で、Shane氏との付き合いは長いそうだ)。
きっちり上手なら成立すると思われがちなJ-Popのサポートメンバー、に、このビーストさんを使っているのである。
「ドラムソロだから派手に叩いてるんじゃないの~?」なんて思うじゃん。
“今夜月の見える丘に”とか“OCEAN”とか、ドラマに使われちゃうようなバラードでも派手ェーー、なのだ(OCEANに至ってはオリジナル音源もこの人)。
いや、動きの大きさに注目したら激しい曲よりもっとデカいことすらある
ハードロックやオルタナティブロックならもっとヤベー動きをするドラマーはいる。が、忘れるなかれこれは日本のポップユニットのSONGだ。
果たして歌謡にこのドラムプレイは絶対必要なのか?否、無きゃ無いでもたぶん成立する、し、B’zならたぶん売れる。
だがしかし、この“綺麗な曲を綺麗に成立させるためには必要のない要素”がミソなのである(これは猛烈に長くなりそうなのでまた別の記事にて語らせていただきたい)。
最近じゃコピーバンドがB’zの楽曲を演奏しアップロードしてたりする、みんな上手だ。
激しく叩くフォロワーもいる。波荒れる日本海のようふだ。
でも彼は太平洋なのだ、雄大で優しい。これはアメリカンハードロックにしばしば見られるデッカいフィーリングからくるもだろう。一朝一夕で出せるものじゃない。
しかも巨大な波のようなのに歌の演出たりえる。
ここもポイントで、本物のハードロックドラマーでありながら歌心があふれてるってのが中々貴重。
ついでにイケメンで、親日家だからファンも喜ぶ(案の定、筆者も喜ぶ)。
30年も活動してるB’zだが、レコーディングの際には別のプレイヤーを呼ぶこともあれど
Shane Gaalaasを失ったら少なくとも元の姿には戻れないのでは、とすら思うほど。
(B’zか~90年代のころは聴いてたな~、なんて人は昨今のライブ映像を是非とも観てほしい。バンドマンならなおさら。)

まとめ

バックバンドというのは“単なる間に合わせ”であっても成立する反面、それほどに重要な“メンバー”になりうるのである。
テレビでお気に入りのシンガーが歌ってた時には、後ろで演奏してる人たちに注目してみてはいかがだろう。
検索したら、案外面白いことが見えてくるよ。
Yuyake Sun
スタジオミュージシャンや講師業をしながらコラム専門で寄稿している、ミュージシャン兼ウェブライター。主に歌謡曲やポップスを好んで聴くが、DarkstepからPowerstompまで恐らく人間が作った音楽ならなんでも聴く程の幅広い感性の持ち主。繊細で寛大で物腰がとても柔らかく、無駄なものはほとんど持たないミニマリスト。