「J-Popは腐ってる。商業音楽なんてクソ喰らえだ!」

10年ほど前、打ち上げにおいてこんな発言を聞いた。汚い言葉ですねぇ。ふふふ。

筆者、当時ハードコアバンドをやっていて、
その日のライブ後打ち上げもアナーキーでファッキンなパンクロッカー達で溢れていた。
 
クソ喰らえの彼の話を聞いていると、
どうやらJ-Popイコール商業音楽イコールファックオフ!
それ以外特に言いたいことも無いようであった。
反骨精神ですね、良いじゃないですか。
言ってることの筋を通そうとするつもりも毛頭なさそうだったけど
なんだか若いし、パンクスの鑑だね。拍手。
 
さて、彼のファック論の正当性の有無は置いといて。
当時筆者はそれを聞いて疑問に思った。
 
「ポピュラーミュージックをすべて商業音楽と括るのはどうなんだろう?」
「考えてみたらそもそも商業音楽ってなんだろう?」
その言葉には、辞書に載るような明確な定義は未だ無い。
当時バカなりにいろいろと巡らせた私の考えを、僭越ながら紹介させていただく。
 

産業ロックという言葉の登場

70年代~80年代頃、産業ロックという言葉が生み出された。
アメリカでセールスを伸ばした音楽グループの一部を指した言葉で、
有名な音楽評論家の渋谷陽一[シブヤヨウイチ]さんが産みの親だそうな。
日本でも知れたバンドとしてはTOTO[トト]やjourney[ジャーニー]なんかがそれに含まれており、
米国においても同じものをさしてダイナソーロック(かっこいい)と呼んだ。
 
この辺に関して私の知る情報と合致してうまく説明してくれている個人様のサイトがあるので観てほしい。
 
この産業ロック、ダイナソーロックというものは、やはり少し皮肉った言葉であるようだ(かっこいいけど)
そして現代流にわかりやすく棘を増した言葉が本邦において「商業音楽」となったと考えられる。
言葉の響きが洗練されたよね、ヤラシイ感じするもん
 

そもそも商業音楽って?

よく耳にするのは、“売れることを目的とした音楽”=“商業音楽”というご意見。
これは実に馬鹿馬鹿しい。
少し誇張した言い方をすれば、“世間から評価される為の工夫”をした時点でそれになる、ということだ。
それに当てはまらないのは、現代音楽家(わかりやすく言い換えると実験音楽家)による個人製作のみ、
といっても過言ではないと思う。
 
肯定した場合、オリコンチャートに存在するものは100%商業音楽、
アンダーグラウンドのバンドのそれもほぼそれに充てはまってしまう。
しかしライブハウスでプレイしているユース達にはアンチ商業音楽思想も少なくない。
 
この説は今すぐドブに捨てるとする。
というか、そこまで広義になるのであれば、もはや特別な名前を必要としないし
ましてやネガティブな表現でなくフェアな言葉が現れるのが自然だ。
つまりこのパターンの肯定は、
土を食えない人間を軟弱人類と呼ぶようなものなのだ。
 
 
実に馬鹿馬鹿しいと切り捨ててしまったが、売れることを目的とした音楽を指す、
というのが悲しいかな一般的な解釈のようである。。。

わかりやすいひとたち

我が国においてアイドルグループのリリースする楽曲達、
これらはさすがに商業音楽と呼んで問題ないだろう、、、
と話したところ、「あのグループのあの曲は神曲だから商業とは言わない」と
アイドル好きの友人に怒られたことがある。はぁ、そういうことなのか…?
 
実際のところ、アイドルが歌う楽曲にもいいものはある。
悲しいことに、私は“大人数の女性アイドルが一斉に歌う歌”が
どうしても、それはもうアレルギーのように苦手で、モー娘。のファーストシングルからブレない。
いや、ほんとは聴けるようになりたくて挑戦したんだけどね、どうも。。。
 
現在、邦楽アイドルグループといえば、、、
・モーニング娘。’18
・ももいろクローバーZ
・でんぱ組.inc
・AKB48
・SKE48
・NMB48
・欅坂46
・BABY METAL
・Perfume
このあたりが代表格だろうか。(AKB系多すぎでは…まだまだあるぞ…)
 
ぐっとさかのぼると、おニャン子クラブ、ピンクレディー、Wink[ウィンク]などがいる。
ちなみにご存知の方も多いと思うが、日本のお茶の間を席巻したおニャン子クラブのプロデューサーは
AKBグループの仕掛け人、秋元康先生である。マジすげぇな。
 
無論、ジャニーズ系もそうである。
・嵐
・SMAP(おつかれさまでした…)
・TOKIO(ごくろうさまです…)
・関ジャニ∞(すばるさん抜けたね…)
などなど…
 
彼ら彼女らが世間に送り出した楽曲にももちろん素晴らしいものは存在し、
人々の生活の中に溶け込んでいたりする。
 
今のうちに明言しておくが、私は基本的にアイドル産業も悪いものと思っていないし、
アイドルヲタクを肯定する気も全くない(可愛いオネェチャンの働く喫茶店に毎日通うのと何ら変わりない)。
ただ人数が増えてくるとお腹がかゆくなったりするだけである。
 
私がこれを商業音楽と呼ぶ決め手は、
ツールが音楽である必要が必ずしもあるわけではない
というところだ。
 
先に出たドルヲタの彼からしたら、逆に音楽という媒体がきっかけだったために
そのネガティブな言葉の表現が気に入らなかったのだろう。
 
アイドルと呼ばれる彼女らの多くは、実際のところ写真集を出したりテレビに出たり、
握手やツーショットポラロイドを売り物にしたりといったことのできるタレント(才能)を持っている。
歌わずとも稼げるけど、歌ったらお金になるから歌うのである。
すごいことだ。(うらやましい。)
 
 

そんなにネガティブにとらえなくても

前項の表現に当てはまるのは、なにもアイドルに限った話ではない。
たとえば。
マーガレット/綾瀬はるか
うつし絵/新垣結衣
 
わかりやすいかと思うが、彼女らは女優だったりモデルだったりが主な活動なわけで。
とりあえず、曲、めっちゃ良い。しかも美人で演技もできる歌手。
これはチートでは?
 
さらに誤解を恐れず言えば、ゴールデンボンバーもそうだし、
タレントを持ってるって意味では木村カエラさんなんかもそうだろう。
ただカエラさん本人は元々歌いたかったそうなのでそういう意味では別だが。
先日アルバムをリリースした篠崎愛さんも、
歌の仕事がしたいとずっと語っていたそのことで、そういう意味ではカエラさん同じパターンかも。
 
至極個人的な意見だが、本項で挙げた方々の歌う曲それぞれ、好きな曲がある。
その曲を書いたのが本人じゃないとして、いや、本人が書いたものじゃないなら尚更、
彼ら彼女らがいなければその曲は私の耳あなたの耳には届いていないのかもしれない。
そう考えるとありがたい。
 
ほら、なんか商業音楽って悪いものじゃない気がしてきたでしょ?
 
 

私によるまとめとメッセージ

さて、誰のためになるわけでもないプレゼンを粛々と繰り広げてきましたが。
商業音楽が日本の音楽をダメにしたと言われて久しい昨今ですが、
ダメになったのはそれに溺れて盲目になった我々消費者のほうだと思います。
ここまで綴ってこういうのもなんですが、商業音楽とか芸術音楽とか、ホントいうと
そういうククりはどーでもいんです大きい声じゃ言えないけど。
自分が聴いて、良いと思うか、思わないか、そっちのが重要。
なんてまとめるとすべてが元も子もなくなってしまうので聞かなかったことにしてください。
 
音楽が作りたくてそれを使って金稼ぐのか、ただ金稼ぐ手段のひとつとして音楽を選択するのか。
そこにのみ違いがあると私は考えます。まとめました。
 
 
そして序盤に記したように、
“商業音楽”という言葉は人々に認知されていながら辞書にもWikipediaにも載っていません。
つまり、まだこの言葉は成熟しきってない、形成が完了してないのです。
そこで私は提唱したい。
商業音楽とは『別のいろいろな方法で成立する商売のひとつとしてツール的に選択され生み出された音楽』を指す。
ことにしたい。
共感してもらえたら、クラスの友達とか会社の同僚とか親戚のおじさんにドヤ顔で布教してください。
twitter拡散も歓迎。
Yuyake Sun
スタジオミュージシャンや講師業をしながらコラム専門で寄稿している、ミュージシャン兼ウェブライター。主に歌謡曲やポップスを好んで聴くが、DarkstepからPowerstompまで恐らく人間が作った音楽ならなんでも聴く程の幅広い感性の持ち主。繊細で寛大で物腰がとても柔らかく、無駄なものはほとんど持たないミニマリスト。