自身が直面する苦悩 作品への影響

2017年7月。世界的ロック・バンド、リンキン・パークのメイン・ボーカルであるチェスター・ベニントンが自らの命を断つというショッキングなニュースが我々にもたらした衝撃は計り知れないものだった。

しかし、それを誰よりも近くで感じたであろう男。リンキン・パークのラッパーであり、プロデューサー。さらにヴィジュアル・アートまでつとめるマイク・シノダその人である。
かけがえのない存在を失ってしまった彼の心境は、その絵画、音楽に如実に現れた。

「今までの僕の作品は、少し具体的すぎたんだ。そして抽象が足りなかったのかもしれないな。」

彼はそう語る。

「きっと苦境に立たされてそれを自覚している人間は、作品を少し具体的に描きすぎてしまうんだ。」

暑い夏の午後。Tシャツにキャップ姿のマイク・シノダはとても落ち着いた様子であった。
眼前の大きなペーストリー菓子をよそにコーヒーを味わう彼の姿は、大きく明るい部屋とは対照的に見えた。

「時の流れとともに僕の作品を見てくれ。僕の直面している苦悩が読み取れるだろう。」

マイク・シノダが味わった1年は、彼の自身初となるソロ・アルバム“Post-traumatic”にて生々しく描かれている
そのサウンドはまさにリンキン・パークのそれであるが、フリースタイルと見まごうようなラップとリリックからは彼の深い悲しみ前に進む決意をひしひしと感じる名盤だ。

via:Rollingstone

Chita
DEEP DIVER編集部の中では珍しい真面目なライター。海外での活動経験を生かして洋楽系の記事を寄稿している。音楽はトロピカルハウスやアシッドジャズなどを好み、海外のカルチャーへの愛と造詣が深い。最近ハマっているのはバチェラー・ジャパンとゲーム・オブ・スローンズ。