シンプルイズ?

筆者、THE BLUE HEARTS(ザ・ブルーハーツ)が大好き。
 
彼らの魅力はそりゃ記事のひとつやふたつじゃ語り切れないわけだけども、
それほどまでに多弁にさせる彼ら自身の音楽はなんといっても
シンプルであることが様々な魅力の源となっているのではないだろうか。
 
 
 
“シンプルさ”というのは様々な文化界において、
そして様々な国、様々な年代において“うつくしいもの”として
取り沙汰される傾向がある。
 
  • 装飾の少ない料理
  • 説明のいらない計算式
  • 無駄を省いたコンピュータープログラム
  • 必要最低限で最高機能のプロダクトデザイン
  • 柔道の一本勝ち
  • 漫画キャラの短い決め台詞
  • 溢れる想いをひとつの言葉に宿した詩
 
これらはいつだって“Simple is Beautiful”なんて言って称賛されるものである。
飾りが少なかったらなんだっていいのかと言われれば、
多分そうではなくて、それに加えて“必要を満たしているもの”を特にそう呼ぶのだろう。
 
THE BLUE HEARTSのようなパンク由来の音楽はその点わかりやすいのではないだろうか。
ギターとベースとドラムがジャーンって鳴って、少ない言葉をワーって叫んで、
少年たちは感涙したのである。
 
 
海外でも大いに共有できると思われる価値観だが、考えてみたら恐ろしいものである。
聴者の心とリンクした結果、SEX PISTOLS(セックス・ピストルズ)のFxxKIN’くそみてーな演奏が美しく見えたりするのだから…。

ロックの特権? 

いろいろな音楽のジャンルにおいて、シンプルブームはカウンター的に発生し繰り返されているようだ。
ロックで言えば、パンクやオルタナ・グランジなんかがそうだ。
 
ヒップホップの登場もある種の
(ブルースもジャズもレゲエもゴスペルもR&Bも生み出したとされる黒人達による、サンプリングを用いた大変皮肉な)
カウンターなのでは、と筆者は考えているのだが、
その誕生は革命となった。
 
今やヒップホップからの影響なくして語れない音楽は実に多く、
「レゲエやR&Bはヒップホップの一種」なんて思ってる人もいるようだ。
 
 
 

ビルボードチャートにて

はてさてだいぶ脱線してしまったけれど。
ヒップホップサウンドを軸に置く音楽も、やはりシンプルなものというのは善しとされているように感じる。
ただ、それが下手に落ち着いちゃった結果、
昨今のビルボードチャートトップランクのつまんなさがマジ半端ない(個人の感想です)な~。。。
なんて思っていた一昨年の暮れ。
 
衝撃が走った。
SOLANGE(ソランジュ)さん(ビヨンセの妹らしい)のDon’t touch my hair
えっと、やりすぎ、っていうか
やらなすぎでは⁉
 
しかしなにより筆者最初に衝撃だったのは
こんなにシンプルなのにこれ以上必要ない”と
思ってしまったことなのだ。加える勇気が出ないといってもいい。
そして純粋に凄く良いと感じた。
 
 
 

オリコンチャートにて

日本のポップシーンにおいて“シンプルな音楽”というと、
 
大抵ロックンロールリバイバル系やいわゆるロキノン系、大体は“ロックバンド”にスポットが当たる気がする。すぐ思い浮かんだのはOKAMOTO’S(オカモトズ)とかplenty(プレンティ)、
ちょっと上の世代ならsyrup16g(シロップ16グラム)、STRAIGHTENER(ストレイテナー)なんかも
当てはまるだろうか。これらもれなく好きなんだけども。
 
 
アンダーグラウンドにはシンプルで尖っててクールなヒップホップは本邦にも存在する。
最近では某モンスターが出てくるダンジョンみたいなフリースタイルの番組のおかげで
かなり地下にも注目が集まってきている気がする。
でも視聴者のうち“シンプルな言葉が巧妙なライムをキメてる”ことに目をつけてる人はどれくらいいるだろう。
それ以上に、
フリースタイルバトルに丁度いいシンプルなトラックを回してることに気づいてる人はどれくらいいるだろう。
 
 
 
 
先に紹介したSOLANGE選手の楽曲はヒップホップサウンドを骨組みにしたR&Bスタイル。
どう考えても、明らかに、
「音数の少なさ」をトラックメーカーは狙っている。
万一にトラックメーカーが意図してないとして、歌う時に突っ込まないはずがない。
どっちもないとしたら、とんでもないアンポンタン集団だ
 
 
日本でも同じタイプのサウンドでR&Bとしてくくられるミュージシャンはたーーーくさんいる。
安室奈美恵さんなんかが筆頭だろうか引退まであと少し!頑張って!
ことオリコンチャート上で、シンプルさを意識したR&Bは果たして存在するのだろうか。
 
断言できないけど、トップ10には存在しないのではないだろうか。
今日本の音楽業界は音を増やすことが正義とされ、音圧の隙間に怯えている。と個人的に思っている。
 
 
 
筆者と似たような考えを持ったミュージシャンもいると思う。
そういった人たちの音楽が大々的に広まり、J-Popシーンが音圧呪縛から解放されたとき、
また“シンプル”の価値が見直され、ビューティフルな音楽がそこかしこに溢れるのではないだろうか。
あ~たのしみィ
Yuyake Sun
スタジオミュージシャンや講師業をしながらコラム専門で寄稿している、ミュージシャン兼ウェブライター。主に歌謡曲やポップスを好んで聴くが、DarkstepからPowerstompまで恐らく人間が作った音楽ならなんでも聴く程の幅広い感性の持ち主。繊細で寛大で物腰がとても柔らかく、無駄なものはほとんど持たないミニマリスト。